コンセプトエール

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空室対策は3つのステップに分解して 考える

投稿日:2019年7月16日 更新日:

「空室」問題に頭を悩ませている不動産オーナーは大変多く、そのため書籍やセミナーでさまざまな空室対策が提案されています。
今回は空室が長期化している状況を3つのステップに分解し、それぞれの段階での原因を分析し、その解決策を考えていきたいと思います。

> 空室が長期化している状況には3つのステップがある

「空室」問題は不動産オーナーにとって最大の悩みである。

そのため空室対策についてはさまざまなセミナーが開催され、書籍も多数出版されている。
私も仕事柄、できるだけ多くのノウハウに触れるようにしているが、正直なところ、最近は「なるほど!」とうならせられるものに出会わなくなった。
どれも何と言うか・・・小手先のテクニックばかりで、空室対策の本質をついていないように感じてしまうのである。

管理会社(仲介業者)を上手にコントロールするとか、内見してくださった方にウェルカムサービスをするとか、動画を配信するとか、共用部を常にきれいにしておくとか、ホームステージングをするとか、さまざまな対策があり、そのひとつひとつはとても良いことだと思うのだけど、私には枝葉の問題であるように思われる。

ところで私が代表を務める管理会社「PM工房社」では、オーナーから管理委託していただたいた物件に空きが出たとき、自社ではお客様付けをせず、すべて仲介業者さんにAD(広告料)を出し決めていただいている。
仲介業者さんに募集情報を行き渡らせ、お客様に紹介しやすいよう、営業しやすいよう多くのサービスを提供させていただくことに特化している。

仲介業者さんはお客様に物件を紹介する前、当社に空き確認をしてこられ、案内が決まったら内見方法を訊いてこられ、入居申込みをいただけたら申込みと契約手続きの連絡をしてこられる。
そのため当社にかかってくる電話のほとんどは仲介業者さんからのものだ。
仲介業者さんは当社の空室を決めてくださる方たちなので、当社にとっては大事なお客様だ。

仲介業者さんからの電話にぶっきらぼうな対応をする不動産会社があるが、当社では絶対に考えられないことである。
気分よく仕事をしていただくことが大切だから、いつも丁重に対応させていただいている。

「空室対策」の話をしていたのに、なぜこのことをわざわざ書いたかと言うと、私が空室対策を施すうえで、この仲介業者さんからの「物件確認」「内見確認」の電話が肝になるからである。

あらためて話を空室対策に戻す。

空室がなかなか決まらないとき、なぜ決まらないか「原因」を考え、その「原因」を克服する「対策」を講じるのがよいと私は思っている。

ひどく当然のことを言っているように思われるだろうが、しかしセミナーや書籍等で提示されている空室対策は、この流れ・・・すなわち原因を分析し、対策を講じるという話になっていないことがほとんどだ。
対策ばかりが表に出て、個別の原因については分析されていない。
そのため私は多くの空室対策は枝葉にすぎないと感じてしまうのである。

では個別の原因とは何だろうか?

もちろん決まらない原因はさまざまあるが、私は、その物件が現在置かれている状況に応じて原因を追究すべきだとと考えている。
状況というのは段階のことである。

私の会社では、[1]仲介業者さんからの問合せそのものが少ない段階、[2]問合せはあるが内見が少ない段階、[3]問合せも内見もあるのに入居申込みにつながらない段階の3つのステップに分けて原因を探すようにしている。

直接お客様に仲介するタイプの管理会社であれば、仲介業者さんからの問合せ件数はお客様からの反響数に置き換えることができるだろう。

そしてむやみに「多い」「少ない」と言っていても仕方がないので、それぞれに「指標」を設けている。
たとえば都内の賃貸住宅であれば、半月(15日間)で仲介業者さんからの問合せ件数が15件あり、そのうち3件内見いただければ入居申込みをいただける確率が高い、と考えている。
つまり指標は15日間で「問合せ件数15件」、「内見数3件」である。

> 3つのステップのどこに今あるかで原因と対策は異なる

この指標を元に、いまなぜ空室が決まらないのか、入居申込みをしていただけないのか考えるようにしている。

ファーストステップは問合せ件数が15日間で15件に満たない段階、セカンドステップは問合せは15件以上いただけるようになったが内見が3件に満たない段階、最終ステップは問合せ件数、内見数とも指標を上回っているのに入居申込みをしていただけない段階だ。

この3つのステップのうち、当該物件は現在どこでつまづいているのかをまず明確にする。
そしてそのステップをクリアできたら、次のステップに進むことを考える。

もちろんファーストステップを克服できると、あっという間に入居申込みが入るということもある。
機械的に段階を踏んでいくわけではないのだが、分解して考えることはとても重要だ。

世の中でうたわれている空室対策は、つまずいている段階を分けて考えず、講じられているように思う。
たとえば内見者にウェルカムサービスをするという対策はいいアイディアだと思うが、それは内見があってのことで、3つの段階で言えば最終ステップでの有効策だ。
問合せ件数や内見数が少ない段階ではいくらウェルカムサービスを実施していても意味がない。

3つのステップをわかりやすく言うと、ファーストステップは物件情報がお客様や仲介業者さんに知られていない段階である。
セカンドステップは知られてはいるが興味を持っていただけていない段階。
お客様は「見てみたい」と思ってくださらず、仲介業者さんは「お客様に見ていただきたい」と思っていただけていない段階である。
そして最終ステップは好きになっていただけていない段階、気に入っていただけない段階である。
興味を持っていただいても、好きになっていただけないことには決まらない。

このように言い換えると、だいぶわかりやすいと思うのだが、多くの空室対策は最初から「いかに好きになっていただくか」を論じているように思う。
出会っていない異性と付き合えるようになるのに、自分の部屋の中でいかにオシャレに着飾り、ヘアスタイルを決めていても意味がないと思うのだけれど、そういう当たり前のことがあまり議論されていないのではないだろうか。

> 「問合せ件数」が少ない段階での原因と対策

さて、良い機会なので、3つのステップについて私が考える代表的な「原因」とその「対策」を述べてみたい。

まずファーストステップ、すなわち「問合せ件数」が少ない段階から。

問合せ件数が少ない原因を考えると、大きく分けてふたつの状況があることに気づく。
ひとつは仲介業者さんに知られていない状況(仲介店舗を持つ管理会社であれば、お客様に知られていない状況)。
もうひとつは知られてはいるが全く関心を持っていただけていない状況である。

前者の場合は募集を委託されている管理会社(自主管理であればオーナー)の広報が圧倒的に不足しているか、広報する仕組みが悪いか、ノウハウがないか、のいずれかである。
ここをクリアしないと次のステップに進める可能性はほぼゼロだから、もし心当たりがあるようならば、この状況は何が何でも克服しないといけない。

管理会社に募集も含めて管理を委託しているオーナーであれば、管理会社がどのような広報の仕組みを持っているか、そしてそれは確実に遂行されているかよく確認する必要がある。
「レインズに登録してますよ」、「ポータルサイトに掲載していますよ」などと言われたら、どのように登録(掲載)されているか実際に見せていただくことだ。
そもそも登録(掲載)していない可能性も残念ながらあるし、いいかげんな登録(掲載)をしていて、「これじゃ誰にも伝わらないよ」と発見できることもある。

後者の場合は、さらにふたつに分解することができる。
ひとつは先の話と重なるが、募集情報の伝え方にハートも技術もなくて、目にはちらっと入るが関心を持つまでには至らないという状況。
もうひとつはそもそも物件に何の魅力も感じないという状況だ。
魅力を感じないのは、何のセールスポイントもない、どこにでもゴロゴロ転がっているような物件であったり、募集条件が物件とアンマッチ(簡単に言えば家賃が高すぎる)していたりすることに起因する。

ファーストステップでつまずいている場合、おそらくここに書いたどれかに原因がある。それがどれかを正確に突き止められれば、対策を打つのは容易だ。

ただ、管理会社は自分たちのノウハウ不足、努力不足を隠そうとするし、オーナーは自分の物件にPRポイントがないとか、家賃が高いとかというのは認めたくないものだから、原因を突き止めること自体が実は難しい。
管理会社、オーナーそれぞれが「自分が悪いのではないか?」と考えるとうまくいくことが多いのだが、実際はその逆で「相手が悪い」と思っているから、空室が長引く。

正直なところ、問合せ件数が少ない状態が長引いているときは、たいがいどちらも悪いと私は思っているのだが、面と向かってそうとは言えないでいることが多い。

> 「問合せ件数」は多いが「内見数」が少ない段階での原因と対策

次に「問合せ件数」は多いが「内見数」が少ないセカンドステップについて、原因を考える。

問合せ件数は指標に届いているのだから、仲介業者さん(仲介店舗のある管理会社の場合はお客様)に周知はされているとして、それにもかかわらず内見に至らない段階である。

こちらはこまかく分けると3つのケースが考えられる。

ひとつめは、その物件の情報をポータルサイト等で見たお客様が来店されたのに、何かしらの理由で内見をやめるケース。
ふたつめはこれに似ているが、仲介業者さんが物件確認をし、募集図面を取り寄せもしたが、お客様に勧めるほどではないと判断してしまうケース。
最後は仲介業者さんが来店されたお客様に「こういう物件もありますよ」と内見を勧めたが、お客様に断られてしまうケースである。
それぞれどのような理由で内見に至らないのだろうか?

まずひとつめのケースだが、これは仲介業者さんの方でほかにお客様の希望に合いそうな物件を見つけていたり、あるいは仲介店舗で預かっている管理物件のほうをイチ押ししたいという思惑があったりして、他の物件を内見に行くというような状況が考えられる。
ただし、これはおそらくレアケースだろう。
お客様が「これが見たい」と言って来店されたのに、その物件をご案内しないのは、仲介業者さんにとってもかなりリスキーだからだ。

ではふたつめのケースはどうだろう?
仲介業者さんは来店されたお客様を、だいたい3物件ぐらいご案内することが多いと言われている。
そのためにはもっと多くの物件をリストアップしていて、そこから3つ厳選するのだろうから、その段階で選に漏れてしまっているということになる。
その理由は、物件の魅力が乏しいか、ほかの物件に比べ募集条件が割高か、だいたいどちらかではないだろうか?

3つめのケースは、仲介業者さんが勧めても、どれを選ぶかはお客様の判断なわけで、お客様にとっての優先順位と仲介業者さんの予想や思惑とがずれているときによく起こる。
たとえば良い物件であれば多少予算オーバーでも見ようと思う方もいるし、予算が最優先という方もいる。

いずれにしても、ふたつめ、3つめのケースでは、物件の魅力か予算かで負けてしまっているから内見に至らないわけなのだが、どちらだったのかは仲介業者さんにズバリ訊いてみるほかない。
どうしてお客様に内見を勧めないのか、あるいはどうしてお客様は見ようとしてくださらないのか、仲介業者さんに直接質問する。

「ほかの物件はエアコンがついているのに、オーナーの物件はついていなかったので」とか、「オーナーの物件は駅から徒歩8分だが、徒歩5分圏内というのが絶対条件だったので」とか、「家賃8万円以内でないと無理で、オーナーの物件はわずかに予算オーバーしてました」などという具合に原因を聞き出す。

たった1人のお客様の声に惑わされる必要はないが、そういう声が多くて、結果的に内見数が指標を下回っているのなら、内見に至らなかった原因をつぶす(改善する)。

どうしてもエアコンをつけたくなかったり、家賃を下げたくなかったりするようなら、ADを多くして仲介業者さんを動かすという手もあるが、そうやって強引に内見させられ、契約まで持って行かれたお客様は早期に解約されることが少なくないから、これはあまりお薦めできない手だ。

もうひとつ、特別に有効な手がある。
それは物件の魅力を徹底的に磨く手だ。

たとえば周辺にはバイクを駐輪できる物件が少なければ、駐車場を数台つぶしてバイク置場を設けるなどして、この物件ならではの武器を身につける。
競争相手がいない世界に持ち込んでしまう手だ。
これはファーストステップでも有効な手段なので、セカンドステップでつまずく前に早々と始めてしまったほうがいいとも言える。

ところで物件の魅力を磨くことを考えた先にあるのは、「コンセプト賃貸」に仕立て上げることだと私は思っている。
「このコンセプトを持った物件は滅多にない!」ということになれば、それを求めているお客様は街を選ばずやって来られる。
期待を大きく外さなければ内見しないということはない。
仲介業者さんも、そのコンセプトにはまるお客様がいれば、きっと紹介してくれる。

私の場合、この結論にたどりついたので、管理させていただいている物件には(強弱こそあれ)コンセプトをつくるようにしているし、またそのコンサルティングをしようという考えに至った。

> 「問合せ件数」「内見数」ともに多いのに「入居申込み」に至らない段階での原因と対策

話を元に戻そう。
問合せ件数、内見数ともに指標を上回るようになったのに、入居申込みに至らない最終ステップについて考える。

この場合、ファーストステップ、セカンドステップを勝ち抜いたものの、同時に内見した物件に負けてしまうケースと、いろいろ考えたがまだどれにも決められない(決め手に欠ける)というケースと、そもそもまだ決めようと思っていなかったケースとがある。
まだ決めようと思っていなかったお客様については、あれこれ考えても仕方がないのでここでは置いておくとして、ひとつめとふたつめのケースはやはりその原因を追究しておく必要がある。

まずやるべきことは、案内してくれた仲介業者さんからお客様の生の声を聞くことだ。
合わせて仲介業者さん自身の感想もお聞きする。
他物件に負けてしまった場合は、どの点で負けたのか聞き出す。
間取り、設備、駅からの距離、周辺環境、募集条件など、物件選びのキーポイントはいくつもあるが、それらのうちどれが劣っていたのか確認する。
駅からの距離や周辺環境はオーナーの力では変えられないが、建物の問題や募集条件で負けたのなら改善の余地がある。
今回は負けたが、次回は負けないようにすることができる。

少し余談めくが、他物件に負けてしまうとき、自身の物件の共用部がきれいでなかったり、原状回復が不十分だったりしたのが原因だったということはよくある。
内見して初めてわかる問題があるということだ。
これは仲介業者さんやお客様に対して、非常に失礼なことなので(仲介業者さんだって「なぜこんな汚い物件を紹介したのだ?!」と叱られ、お客様からの信頼を失いかねない)、万一、これが理由だとわかったときは猛省すべきだ。

ところで「決め手」に欠けたから他物件に負けてしまったり、今回は全て見送りという判断をされたというのであれば、その対策として内見時にウェルカムメッセージを贈ったり、ホームステージングをしたりすることは有効だ。
そういうこまやかなことに努力をしているオーナーの物件はやはり好感度が高く、内見後の成約率が上がる。
これはオーナー自身が努力し工夫できる領域なので、差別化したいと思ったら前向きに検討すべきだと思う。

> コンセプト賃貸と3つのステップの関連

さて先に、ファーストステップ、セカンドステップをクリアするのにコンセプト賃貸は有利だということを書いたが、最終ステップでももちろん有利なのは間違いない。
コンセプト賃貸の場合、どちらかと言うとファーストステップ、セカンドステップをクリアした段階でお客様の心はほぼ決していると言っていいかもしれない。
最後に自分自身の目で確かめるのが内見の場だという言い方もできる。

ところで、もし同じコンセプトの物件が複数あれば、どの物件がより理想に近いか、好みかで選抜されることになる。
あるいは駅からの距離や設備などを合わせて考えることになる。

同じコンセプトの物件が複数あるという段階で、コンセプト賃貸であることの妙味は薄れる。陳腐なコンセプトはひとつのセールスポイントに過ぎないと言えてしまうかもしれない。

一方、ほかに同じコンセプトの物件がないのに、内見後決めていただけないというケースもある。
それはその物件の企画が薄くて、コンセプトを求めるお客様のハートに刺さらなかったということだ。

このふたつのケースはともに企画ミス、商品化ミスだと言える。
同じコンセプトの物件があるばかりでなく、負けてしまうというのはやはり問題だし、競合がないのにターゲットである顧客のハートに刺さっていないのも論外だ。
挽回できるレベル、改善可能なレベルであればいいが、そうでなかった場合はその後もずっと空きっぱなしという可能性も出てくる。
企画する際はしっかりとノウハウを学び、じっくり検討すべきだと思う。

> まとめ~コンセプト賃貸は空室対策に効果あり

今回のコラムのまとめです。

  • 空室が長引いている場合、3つのステップに分解して、原因と対策を考えるべきである。
  • 3つのステップは、問合せ件数が少ないファーストステップ、問合せ件数は指標を上回っているが内見数が少ないセカンドステップ、問合せ件数、内見数ともに指標をクリアしているにもかかわらず入居申込みを得られない最終ステップから成る。
  • ファーストステップ、セカンドステップ、最終ステップの順に原因を分析し、対策を講じ、段階を上がっていくのが望ましい。
  • コンセプト賃貸は3つのステップ全てにおいてクリアするための有効な手段である。
  • しかし、つくったコンセプト賃貸が最終ステップをクリアできないものであったら、かなり致命的なので、企画、商品化の際はノウハウを学び、しっかり検討すべきである。

今回はコンセプト賃貸に限らず、普通の物件であっても空室対策に役立つ方法、考え方をお伝えしましたが、ここであらためて申し上げたいのは、「数値を元に考える」ということです。

管理会社さんに「問合せ件数は多いですか?」と質問すると、「まあまあですね」とか「なかなか人気がありますよ」などという答えが返ってくることがありますが、それらはとても抽象的で、3件でも多いという人がいるかもしれないし、20件あっても少ないと思う人がいるかもしれません。
そのため、募集の都度、問合せ件数(反響数)、内見数は正確に集計し、記録として残しておくことをお薦めします。
長くやっていると、一定期間内にどれぐらいの問合せ件数、内見数があれば入居申込みに至るかわかってくるようになるので、それを指標として定めます。
その指標に照らし合わせて「多い」「少ない」は判断すべきです。
営業は感覚だけで仕事をしてはいけない分野だと思います。

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