コンセプトエール

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コンセプトづくりの相談相手

投稿日:2019年7月15日 更新日:

「キラーコンセプト」と言えるほど強く明確なコンセプトを持った賃貸物件は、本来、入居者募集時に苦労することがないはずなのですが、実際は、長期間空室のままで、不安に駆られたオーナーが募集条件を下げ、コンセプトにマッチしない方でも入れていくことがよくあります。
その原因はさまざまなものが考えられますが、そもそも企画段階で失敗しているケースも散見されます。
今回は企画時のマーケティング調査や専門家へのリサーチに焦点を絞り、お話をさせていただきたいと思います。

> “類が友を呼んでくれる”コンセプト賃貸

「類は友を呼ぶ」ということわざがある。
気の合う者、趣味や好きなことが似ている人同士は自然に集まり友達になる、というような意味のことわざだが、コンセプト賃貸ではこの言葉が重要なキーワードとなっている。

強い訴求力のあるコンセプト(キラーコンセプト)を持った物件は、それにマッチした入居者さんが住んでくれることが理想で、実際に願い通りの方に入っていただけると、その方は友人を自宅に呼びたくなるものだと思う。

このときどんな友人を招待するかというと、新しい家、自分の選んだ暮らし方を気に入ってくれる人、ほめてくれる人を選ぶのではないだろうか?
自分が気に入ったコンセプト賃貸にケチをつけるような人は呼びたくないものだろうから。

それ以前に、人はそもそもどんな人を友人にするかと言うと、価値観が近かったり、共通の趣味があったりする人を選ぶものだと思う。

そう考えていくと、コンセプト賃貸に招待される友人は、コンセプトにマッチした人である可能性が高いと言えないだろうか?

たとえば私が過去にコンサルティングさせていただいた物件で、1階が元・美容室で2階が住宅というものがあった。

このとき美容室だったスペースは床を解体して土間にしたのだが、そこを借りてくださった方がこの土間スペースに大きな水槽を置いて熱帯魚やカメをたくさん飼われた。
そこに遊びに来られた友人が、この家をすっかり気に入ってしまわれ、入居者さんを通して「もし同じ企画の物件が空いたら、真っ先に紹介してほしい」と申し込まれてこられた。
しばらくして実際にほかで空室が出たときご連絡をさしあげたら、退去の翌日に見に来られ、即申込みをしてくださった、ということがあった。

これがコンセプト賃貸の「類は友を呼ぶ」現象の典型例だ。

管理会社からすると、入居者募集の営業活動を全くすることなく決まってしまうのだから、本当にありがたい話だ。

普通の物件ではこういうことはまずない。
あるとしたら、「親や友人が住んでいるマンションで空きが出たら引っ越して来たい」というケースぐらいだろう。

> 想定したターゲットに響かないコンセプト賃貸もある

ところが類が友を呼ばないコンセプト賃貸というものも残念ながらある。
「類が友を呼ぶ」以前に、想定したターゲットにそっぽを向かれ、長期間空室状態が続いているものがある。

それはいったい何故なのだろうか?

もちろん、募集を担当している管理会社や仲介業者さんに力がなく、募集情報がそのコンセプトを求めている人たちに届いていない可能性もある。

コンセプト賃貸には特有のリーシングのコツ、ノウハウがあるのだが、多くのオーナーや管理会社はそれを知らない(そもそも、ノウハウがあるということすら気づいていない)ため、発生する悲劇だ。

しかし募集情報がしっかり届いているのに、ターゲット層のハートに響かないものもある。
ハートに響かなければ、エリアや家賃等の募集条件が合わない物件にわざわざ引っ越してくる人もいないだろう。

> なぜターゲットのハートに響かないのか?

では、なぜターゲット層のハートに響かないのか、考えてみよう。
私が過去に見てきた苦戦物件の例を分析すると、オーナー自身がコンセプトに掲げた分野にさして関心がないケースが多い。
全く関心がないというわけではないのだけれど、「仕事」として取り組んでいるだけだから、夢中になるというほどではない。
そんなとき、オーナーは友人・知人の中で、その分野に造詣が深い人を探してきて、意見を聴くことが多い。

たとえば「ネコを快適に飼育できる賃貸住宅」というコンセプトを掲げたら、ネコを飼っている友人・知人に相談する。
もちろん、そのこと自体は悪くないのだが、それだけでわかった気になり、そこで出てきた意見やアイディアを元に企画を組み立ててしまうのなら問題だ。
それは大きな失敗につながりやすい。
なぜなら経験値が不足しすぎているからだ。

確かにその友人はネコ好きで、ネコ飼育歴が長い人かもしれない。
しかし、たった数匹の経験しかその方は持っていない。
ネコにはさまざまな性格や癖の持ち主がいて、健康状態や寿命などもそれぞれ違う。
その飼育を通して得た知識、経験は圧倒的に不足していると思わないだろうか?

たとえるならば、子どもを一人育てたことがある母親(3人でも5人でも構わない)が育児研究家だとか教育評論家だとかになったとして、その人の言葉をすぐに全部信じることができるだろうか?

仮にネコ好きな友人・知人を5人集めて話を聞いたとしても、やはり不足していると私は思う。

もっとひどいのは、オーナー自身が「子どもの頃飼っていた」という程度の経験・知識で企画をしてしまうことだ。
何かしらの原因があって飼うことをやめているのに(強い言い方をすると「挫折している」と言ってしまってもいいかもしれない)、そのときの知識・経験をベースにネコ部屋の企画をしてしまうことがある。

こうした場合、ファン心理の本質をつかめないことが多く、その結果、そっぽを向かれ、いつまでも空室に悩まされることになってしまう。

> マーケティング調査をしない賃貸不動産業界

そもそも賃貸不動産業界では、新築やリノベーション工事をするとき、マーケティング調査をしない傾向が強い。

男性と女性、学生と社会人、単身者とファミリー(ファミリーなら家族構成も)など、エリアや近隣に競合物件の状況によって、ターゲットが異なるはずなのに、意に介さない。

建設会社に任せておくと、すぐに単身者向けをつくりたがる。
延べ床面積が同じ場合、小さい部屋をたくさんつくったほうが水回りや設備が増え、工事代が高くなるからだ。

「いやいや、きちんと調査していますよ」と言われるかもしれないが、その調査は極めて甘いことが多い。

たとえば、「新築するエリアには大学があるから、学生向きの部屋をつくると空室に悩まない」と言われ、ワンルームマンションをつくったものの、学生が全く入って来ない物件を見たことがある。

途中から管理を委託され、その原因を調べたら、その大学はいわゆる一流大学ではなく、地方から学生はほとんどやって来ず、ほぼ自宅通学の学生ばかりだったということがあった。
しかも数少ない地方出身学生や留学生のために大学が寮を用意していて、賃貸マンションに流れてくる学生さんはほとんどいなかった。

リノベーション工事でもそうだ。
この物件は駅から遠く、道中も酒場が多いからどう考えても男性をターゲットにしたほうがいいのに、女性向きの部屋をつくるのが得意なリノベーション工事会社をオーナーが連れて来て、半年空いたあと、内装を全部男性向きにやり替えたということもあった。

この類のことは枚挙にいとまがない。

以前なら、お部屋探しをしている人(=需要)が物件数(=供給)を上回っていたので、女性向きの部屋でも男性は我慢して住んでいたが、今はもうそんな時代ではない。
そのことをきちんと認識していないので、こういうことがよく起こる。

「普通」の物件ですらこのありさまなので、さらにハイレベルのマーケティング調査が必要であるコンセプト賃貸が調査不十分となってしまうのも仕方がないことなのかもしれない。

> 「空き待ち」をつくれるのがコンセプト賃貸の強み

さて、先ほど元・美容室だった店舗スペースを土間にして貸し出したら、水槽をたくさん並べて暮らす方が入居され、その方の友人が「ほかに同様の物件が出たら住みたい」と立候補してこられた話を紹介した。

私はこのケースを「空き待ち」と言っている。

他業種では「ウェイティングリスト」という言い方がされているかと思うが、たとえば人気のレストランなどでは「半年待ち」とか「1年先までお客様が予約されている」などというように、利用できる機会を待ってくださるお客様がいる。

この状況を賃貸不動産業界でもつくり出せないものだろうか。

その部屋を探している人、その部屋でなくてはならない人(=需要)がコンセプト賃貸数(=供給)を大幅に上回れば、「何年先でもいいから、空いたら住みたい」と思ってくださる人も出てくるはずなのである。

この「空き待ち」は、普通の物件ではまずつくれない。
たとえば吉祥寺や自由が丘など人気の街に住みたいという人は多いが、そのエリアでも供給されている賃貸物件はたくさんあるから、その中から選べばよいだけで、空き待ちをする必要はない。

反対にキラーコンセプトを持った物件の場合、街選びは二の次で、どんなエリアにあってもこの物件でなくてはダメなんだ!となるから、需要はさらに拡大する。 圧倒的な需要の多さと、わずかしかないコンセプト賃貸の供給を考えると、空き待ちはつくりやすいとさえ言えると思うのだが、どうだろうか?

> 空き待ちができるレベルを目指そう

コンセプト賃貸の場合、最初の入居者さんのハートに響けば、同類の友人(以下「類友」という)のハートにも響く可能性は大である。

ファン心理を深く理解し、何を欲し、何を求めているのか把握できたら、良い商品をつくるのは比較的容易で(予算次第ではあるが)、あとはきちんとその募集情報をターゲット層のお客様に届けることができたら、売れない(決まらない)はずがない。

そして実際に住んでみて、さらにその良さを痛感できれば、類友たちに言いたくてたまらなくなるだろう。

その類友たちのために次のコンセプト賃貸を用意する(新築したり、リノベーション工事をしたり)。
出来上がったら声を掛けさせていただき、ご契約いただく。
そこにまた新しい類友が遊びに来て、「自分も住みたい」と言って空き待ちしてくださる。
この循環が出来上がったら、オーナーにとっては最高だ。
空室に悩むことがほとんどなくなるし、また一人ひとりの入居期間もきっと長くなるはずだから。

そのためにも、企画段階でマーケティング調査、コンセプト分野のリサーチを十二分に行って、ファンの方たちのハートに響く物件をつくっていただきたいと思う。
単に「満室」を目指すのではなく、空き待ちができるレベルを目指すのである。

> まとめ~マーケティング調査を徹底しましょう

今回のコラムののまとめです。

  • コンセプト賃貸の強みのひとつは「類は友を呼ぶ」こと。
    すなわち、入居者さんが、同じ趣味を持つ友人に自分の暮らしている家を見せてくれ、将来の顧客をつくってくれることである。
  • ところが入居者さんが同類の友だち(類友)に紹介してくれる以前に、誰も入居してくれないという事態が起こりえる。
  • その原因のひとつは、企画をする際のマーケティング不足、コンセプト分野のリサーチ不足にある。
  • オーナーはコンセプトにあてはまる趣味を持つ友人・知人にヒアリングしたリ、自分自身の少ない経験にもとづいて、わかったつもりになってしまうことがよくある。
    それはとても危険なことだ。
  • そもそも賃貸不動産業界はマーケティングをしない業界だ。
    だから不動産会社、建設会社に任せきりにすると痛い目を見る。
  • 「空いたら是非見たい、住んでみたい」というウェイティングリスト=「空き待ち」をつくり出せることがコンセプト賃貸の最大の強みである。
  • コンセプト賃貸づくりに取り組むのであれば、満室レベルで満足せず、空き待ちをつくれるレベルを目標にしよう。

私はこれまで数多くの新築物件、リノベーション物件を見てきました。
その中にはマーケティングや専門分野のリサーチを十分行わず、空室に悩んでしまうものもたくさんありました。

その問題が内装レベルぐらいならいいのですが、間取りや共用部、外観などに絡むものだとかなり致命的です。

そしてコンセプト賃貸の場合は、さらにダメージが大きいです。
コンセプトにマッチした設備やサービスも加わるためです。

ですからマーケティングや事前リサーチは、ノウハウをしっかり学び、取り組んでいただきたいです。

見よう見真似でやる愚を犯さないでほしいとは何度も言っていますが、特にこの分野では危険だと思います。
十分留意し、取り組んでください。

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