コンセプトエール

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コンセプト賃貸特有の募集図面

投稿日:2019年6月20日 更新日:

ネットでお部屋探しをすることが主流となった今でも、募集図面はやはり重要な営業ツールであることに変わりがありません。
ただ、募集図面がどのような場面で必要とされるのか、また何故必要なのか、理解しているオーナーは案外少ないように感じています。
今回は、まず募集図面についての考察を深めていただき、そのうえでコンセプト賃貸の募集図面をつくるときの注意事項等をお伝えしたいと思います。

> ご所有の物件の募集図面をご覧になったことがありますか?

仕事をお請けしていないオーナーたちと酒席をともにするとき、セカンドオピニオンを求める感じで、空室が長引いていることを相談されることがある。

その場合、私は「一度募集図面を見せていただけませんか?」と言うことにしている。するとほとんどのオーナーは「明日、管理会社(あるいは仲介業者)に頼んでみますね」と言われる。そして数日後、少しショックを受けた様子で募集図面を送ってこられる。

募集図面を管理会社(仲介業者)任せにしていて、自身で確かめたことがなく、初めて目にした募集図面は、スカスカで、写真の点数も少なく、キャッチコピーもおざなり、という、非常に低レベルなものであることを知るのだ。

そして「ああ、これでは空室が長引くのもやむを得ないな」とお気づきになる。

自分が見てショックを受けるようなレベルの募集図面をお客様が見て、気に入るはずがないからだ。

> なぜ低レベルの募集図面が生まれるのか?

しかし、なぜそんな低レベルの募集図面になってしまうのか、お考えになったことがあるだろうか?

その答えはいくつかあるが、今回は仲介営業の現場での募集図面の使われ方を切り口にお伝えしてみたい。

仲介店舗は来店されたお客様に、自社の管理物件を中心に紹介するが、お客様のニーズを満たすものが管理物件の中になければ、他社の物件を紹介する。

せっかく来店してくださったお客様が他の仲介店舗に行ってしまわれたら、元も子もないからだ。

このとき他社の管理物件を、募集図面を使って紹介する方法は大きく分けて3通りある。

自社のフォーマットに情報を入力し、自社仕様の募集図面にしてお見せする方法。

マイソクやレインズで取り寄せた他社の元図面に、帯(会社情報)の部分だけ自社のものに代えてお見せする方法。

アットホームなどポータルサイトから既定フォームでまとめられた募集図面をプリントアウトする方法。

この3通りだ。

そしていずれの方法でも募集図面のレベルが低くなってしまう可能性は多分にある。その理由は上記の方法によって異なる。

のケースは単純に自社のフォーマット自体のレベルが低いため。

のケースは元付の会社がつくった募集図面のレベルが低いため。

のケースは、ポータルサイト側としては必要な情報を募集図面の形式で見やすくしようとしているだけで、営業ツールとはあまり考えていないためだ。

それとは別に、募集図面はそもそも誰のためにつくられているものか、という点も考慮する必要がある。

そう言われると「お部屋探しをしているお客様のためだろう」と断じられる方が多いと思う。本来の用途としてはそういうものなので、それは決して間違いではない。

仲介店舗の営業マンも、スカスカ低レベルの募集図面には慣れっこで、自分の営業トークやネットに掲載されている画像などを使っていくらでもフォローできるから、これで十分だと思っている節がある。

しかし、募集図面にはもうひとつ、オーナーや管理会社にとって「仲介店舗の営業マンに、自分の物件をよく知っていただくためのツール」という役割があることを忘れてはならない。

オーナーや管理会社は直接お客様に自分の物件を紹介することができない。紹介してくれるのは仲介店舗の営業マンだ。その営業マンたちはマイソクなどで募集図面を見て、どの物件をお客様に紹介するか判断する。

この場合、スカスカ低レベルの募集図面が営業マンたちの目に留まる可能性は低いのは自明の理だ。

営業マンたちにスルーされ、陽の目を見ることなく埋もれていく。

> コンセプト賃貸は普通の募集図面では決まりません

コンセプト賃貸の場合、この問題はさらに深刻だ。

明確なコンセプトがない、普通の物件ならば、「住所」「募集条件」「間取図」「外観・室内写真数点」さえあれば判断できるとも言えるので、募集図面にはさほどこだわらなくてもよいかもしれない。

しかしコンセプト賃貸は、営業マンやお客様にコンセプトをどのように伝えるかが非常に重要なので、募集図面には大いにこだわる必要がある。

たとえばキャッチコピー。

普通の物件の募集図面には「南向き」「日当たり良好」「角部屋」「駅近」「子育てしやすい住環境」「築浅」などの語句が大見出しで並ぶ。

これなぞはキャッチコピーでなくスペックの羅列に過ぎないと思うが、ほかにセールスポイントがないのだから仕方がない。

しかしコンセプト賃貸の場合、こんな当たり前の文句ではターゲットのハートをつかむことも、仲介店舗の営業マンの目に留まることもできない。

コンセプトそのものをダイレクトに見出しにし、PRする必要がある。

コンセプトを上手に伝えるという意味では写真もとても大切だ。

たとえば「ネコ飼育大歓迎」というコンセプトのもと、キャットウォークを壁数面に設置したお部屋をつくったとき、そのキャットウォークを歩くネコの姿が写真に写っていなかったら、それはただの棚にしか見えない。

こう書くと「そんなこと当たり前じゃないか」と思われるだろうが、実際、コンセプト賃貸の募集図面は普通の物件と同じく、先述した3つの方法でつくられるため、キャッチコピーもなければコンセプトをわかりやすく伝える写真もないことが非常に多いのである。

管理会社も仲介業者もコンセプト賃貸の営業に慣れていないから、普通の物件と同じ方法で募集図面をつくることしか思いつかないのだろう。

> 写真に対する意識の低さ

ところで募集図面に限らず、ネットで情報配信する場合においても、使われる写真のレベルの低さに驚くことが少なくない。

構図が斜めになっていて見ていると船酔いしてしまいそうになる写真、部屋の一部しか写っていない写真、暗くてよく見えない写真などが平気な顔をして掲載されている。

退去されたあと、急ぎ募集を始めたいからとて、原状回復工事をする前に写真を撮影し、そのまま募集に使うケースも散見される。

「ないよりはマシ」と思ってそうするのだろうが、これははっきり言って「ないほうがマシ」。汚い室内の写真が好感を持って受け止められることなどなく、おかしな先入観を与えてしまいかねない。

写真は「あればよい」と思っている管理会社やオーナーが多いので、そういう写真が横行するのだろう。

何も「全てプロカメラマンに依頼せよ」と言っているわけではない。

お部屋探しをしている人がネットなどではじめに物件選びをする際、写真が重要な判断材料になっていることは間違いないので、そこで選ばれるレベルの写真を載せなければ、その時点で終わってしまうと言いたいだけだ。

少なくとも「水平」で「明るく」、「部屋全体の様子がよくわかる」写真は撮らなければならない。スマホでもそれは十分可能だ。要は意識レベルの問題なのだと思う。

> コンセプトを上手に伝える写真とは?

コンセプト賃貸の場合、写真に対する意識レベルはさらに上げる必要がある。

たとえば先ほど、「ネコが歩いていないキャットウォークはただの棚」という話をしたが、この種の話はいくらでもある。

犬の足洗い場があっても、犬が洗ってもらっている写真がなければただの水道だし、防音性能が高い楽器OKマンションであっても、ピアノやギターが写っていなければただの部屋だ。

賃貸募集用の写真は、モデルや小道具を使う習慣がなかったから、こういう事例が出て来てしまうのだと思う。

私がプロデュースするコンセプト賃貸では、なるべくモデルを使うようにしている。

「メキシカンハンモック付き」の部屋をつくったときは、メキシカンハンモックに慣れているモデルを呼び、伸び伸び寛ぎ乗っているいるシーンを撮影したし、川そばに建てられたマンションで、浴室とインナーバルコニーを川側につくったときは、女性が風呂上りにビールを飲んでいるシーンを撮影した。

人が実際にコンセプトを満喫している姿を見せると、イメージをダイレクトに伝えることができる。頭の中ではそのモデルが自分にすり替わり、この部屋で暮らすとこんな生活ができるんだなと想像をふくらませていただける。

できることならば、コンセプト賃貸に入居していただいた後、その部屋で楽しく暮らしている姿を撮影させてもらうとよいと思う。

モデルを使うと、人でも動物でも、どうしても「意図的につくった感」が出てしまうが、本当に住んでいる方を写すと、とても自然になるし、コンセプトのマニアに刺さる写真が撮れるようになるからだ。

> コンセプトのキャッチコピー

コンセプトを言葉で上手に伝えることも、募集図面をつくる際には大事なことだ。

キャッチコピーづくりは、本当ならプロのコピーライターに頼みたいぐらいだ。

一度つくったキャッチコピーはずっと使えるものだから、そこにコストをかけても十分お釣りがくるのではないだろうか?

私も一度頼んでみたいと思っているが、恥ずかしながら予算が確保できず、まだ実行したことがない。頼めるルートは確保し、報酬の相場も確認しているので、いつかきっと、と思っている。

ただ、自分自身でキャッチコピーをつくる場合、いくつか良い方法がある。

たとえば具体的な数字を使うことだ。

防音性能をうたう楽器OKマンションなら「110dbまで音が出せる」とか、水槽をたくさん並べられる物件なら「20tまで水槽を置いても大丈夫」という具合に、数字をキャッチコピーに入れてみるのだ。

一般の人にはその数字に何の意味があるかわからないが、マニアにはよくわかる。

コンセプト賃貸はマニアに刺さりさえすればいいのだから、それで十分だ。

詩的センスがなくても、ターゲット層のハートをつかむキャッチコピーをつくる方法はほかにもたくさんある。

いろいろと工夫すると、楽しいキャッチコピーがつくれるだろう。

> まとめ~コンセプト賃貸特有の募集図面をつくりましょう

今回のコラムのまとめです。

  • 空室の長期化に悩んでいるときは、まず募集図面を確認してみよう。管理会社や仲介業者がつくってくれている募集図面は驚くほど低レベルなものであることが少なくない。
  • 仲介店舗が他社管理物件の募集図面をお客様に見せる方法は3通りあり、それぞれにレベルが低くなってしまう理由がある。
  • 募集図面は、お部屋探しをしているお客様に見せるためだけにつくるものではない。物件を紹介してくれる営業マンの目を意識することも大事。
  • コンセプト賃貸の募集図面は、普通の募集図面と同じつくり方をしたら、コンセプトを伝えることができなくなる。
  • 募集に利用する写真に対する意識が低いオーナーや管理会社が非常に多い。
  • コンセプトを上手に伝える写真を撮るには、モデルや小道具が必要。
  • 効果的なキャッチコピーをつくるにはいくつかテクニックがある。そのひとつは数字を効果的に利用することだ。

賃貸不動産業界は、宣伝が不得手な業界だと私は思っています。

不動産を売却する場合は、利益が大きいので、宣伝にかけるコストも多く取れますが、賃貸は、1ヵ月分の家賃が報酬基準なので利益も少なく、また数がとても多いため、コストも労力もそこそこにしないと回らないのが原因だと思います。

それが常態化しているため、宣伝に対する意識も意欲も低くなり、新築マンション1棟のように利益が大きい場合でも、普段と同じような宣伝をしてしまうのでしょう。

普通の物件でも、低レベルの募集図面では決まりが悪いですが、コンセプト賃貸となるとなおさらです。

コンセプトをきちんと伝えようとすらしていない募集図面が非常に多く、とても残念に思っています。

この状態を克服するには、まずオーナー自身の募集図面に対する意識レベルを上げ、自分で図面をつくるぐらいの意欲で臨む必要があるかと思います。

優れた募集図面ができても、それを上手に活用し、コンセプトのターゲット層の目に触れるようにするには、また別の工夫が必要となるのですが、それは回を改めてお伝えしたいと思います。

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